弘前市が弥生スキー場建設計画跡地に建設しようとしている
「岩木山弥生地区自然体験型拠点施設」の問題点(その1)
「弘前市街からの遠望、枠内に建造物がぞくぞくと建つと景観は台無しに」十年以上も前に、弘前市長を社長とする「会社」が岩木山弥生地区にスキー場を造ろうとして森林伐採等をして「山」をサラ地にしたが、青森県がスキー場設置を認めなかった。その「サラ地化」等にかかった費用を「市民のお金」で清算しようとしていることがいわゆる「弥生スキー場跡地」問題だ。この会社はスキー場を断念して解散したが「費用」はツケとしていまだについてまわっている。この会社は実質的には「弘前市」だ。
ところが、弘前市はその「跡地」に青森県が構想した大型児童館を造ると言いだした。しかし、財政難から県は「大型児童館」構想を見直してひっこめてしまった。しかし、弘前市はあくまでもこだわり、施策の柱の一つにこれをすえ、独自でも建設を進めると言っていたものだ。ところが、今年の三月に弘前市健康福祉部児童家庭課から「岩木山弥生地区自然体験型拠点施設基本計画」が発表されたのだ。
ここまでで、すでに次に示す五つの大きな問題点がある。
・跡地に関わる費用のことが解決していない。
・大型児童館建設を止めた理由が示されない。
・この大型児童館と新しく提示された「自然体験型拠点施設」との整合性やつながりが説明されない。
・新規の事業なのに市議会の議決を経ていない。
・サラ地となった「跡地」は十数年間放置されたままである。本会はここ十年間、市がスキー場建設を断念して「弥生スキー場跡地問題」が生じてから、「美しい岩木山の景観と自然の保全」を第一義にして、スキー場予定地として伐採されてしまった「跡地」を「ふるさとの森」として再生すること一貫して要求してきた。
そのために九六年に「スキー場を考える」、同年にまた「岩木山と共生する」、九七年に「弥生スキー場跡地利用を考える・森林の復元は可能か」等のシンポジウムを開催し、森林の回復は可能なのかと、その具体的な手法について学習をしてきた。
そして、その結果をマスコミ等を通じて市当局に訴え、さらに環境保全の理念に基づいて岩木山のあるべき姿を考え「スキー場建設中止によって生じたサラ地は、適切な手順を経て速やかに整備されるべきだ」と主張してきた。
弥生地区の跡地の森林が引きはがされ裸地となり、サラ地となってすでに十年、市当局が我々の声に耳を傾け、森林の回復に取り組んでいたならば、現在はそれ相当の雑木林になっているはずであった。(次回に続く)