弥生スキー場予定地跡地(岩木山弥生地区自然体験型拠点施設」建設予定地)
を今後どうするか。本会の意向(幹事会で確認されたこと)

 相馬市長はこの跡地に「森林復元」等を考えているようである。本会として97年7月に「弥生スキー場跡地利用を考える・森林の復元は可能か」というテーマでシンポジウムを開催し「森林」の「復元」は可能であるという結論を出している。よって市長の言う「森林復元」には反対するものではない。しかし、進めるべきものは「森林復元」を含めた人工的な要素を極力省いた「里山としての自然の回復」であると考えている。
手だてとしての第一は「環境評価の実施」である。

 93年作成の弥生スキー場環境評価(アセス)報告書は動植物についても、景観についても山頂からの俯瞰景や公園本丸からの眺望に関する具体的な予測と評価が欠落していて、いずれも環境影響評価に値しなかった。また、14年間放置された当該地の自然変移は多様に認められ、これに対する調査は必要不可欠である。
なお、環境調査と評価は99年に施行された新しい環境影響評価法に基づいて実施すべきである。簡単に言えば、出来上がった「調査計画」ではなく「計画」される過程に市民が参加するということである。

 第二は、人工的な要素を極力省いた「里山としての自然の回復」を図ることの基本は「自然の回復力」を重視し、本来の植生を大切にすることである。植樹をする場合でも近隣に生えている幼樹の利用などを考えるべきである。

 第三は「里山としての自然の回復」を図る時には「岩木山の景観的美しさは異物のない山麓にある」を基本にすえることである。 岩木山の秀麗さを特徴づけるものは人工的異物のない山麓である。市内城北大橋から自然体験型拠点施設予定地である岩木山東麓がよく見える。壁倉沢上部の急峻に落ち込む開析谷を辿ると「憩いの広場」の赤い屋根が見える。そこから視線を北に山の端が途切れるところまで辿っても実距離20kmほどの間に見える建物はない。弘前から見えるこの「岩木山東麓」は昔からのものであり、先人が愛でることで残してくれた貴重で伝統的な財産的景観なのだ。

 第四はとにかく拙速は避けることである。森林復元にしても何にしても急ぐことはない。今すぐにという姿勢は自然にとっては性急な行為でしかない。自然治癒力を考えれば当然のことである。

岩木山を考える会 20060630発行 会報39号より