標高800m付近(リフト終点付近)に
なぜ「硫安」が10袋近くも放置されているのか?これは鰺ヶ沢スキー場・拡張ゲレンデの上部にあったものだ。農業用の肥料として農場などではよく見られるが、なんと場違いだろう。
一説によると「融雪」を抑制するために使用するという。スキー場なのだから融雪を抑えてできるだけゲレンデコンデションを確保するには使うのだろうと考えたら、場違い感は消えた。しかし、これは肥料でもある。化学物質でもある。これを使えば当然あるがままの自然は「改変」される。何という自然に配慮しない身勝手な生態系の破壊行為であろう。仮に融雪防止剤として散布したのでない(肥料として使った)とすれば、「近くにワラ等を貼った植物の植え付け跡がある」はずであるが、それらを確認することは出来なかった。(2004年8月25日もそれらを確認することは出来なかった。融雪防止剤として散布した残りをそのまま置いたというのが真相でなかろうか。)
上の写真 放置されてある硫安(雪解けの間もない04年5月23日撮影)
8月25日もそのまま撤去されず置かれたままであった。
*硫安は、通常、酸性土壌でも十分に育つイネ科を中心に、初期生育を旺盛にするために使われる。事業者(スキー場)への質問
1、もし、融雪防止剤として使用したのでないとすれば何の植物の初期生育を盛んにして、生態系を大きく変えようとしたのか。
1に関連して、その後の調査でもこれを撒いたために、とりわけ初期生育を盛んになって生育がよくなっている草付き部分は見られない。2、土壌の酸性が強くなり自然繁殖する植物が限られてしまうので、無使用区域のペーハー(pH)と比較調査して、若干の中和措置も必要ではないか。そのような措置は講じたか。
3、中和措置の場合も安易に石灰等ををまくと表土の石膏化も危惧されるから専門家に相談などしたのか。
(参考)みちのく野生生物調査会が提出した「鰺ケ沢スキー場拡張等計画に係る自然環境影響調査<生物関係>報告書(概要)」(いわゆる環境アセスメント、この報告に基づいて県の許可が出された)の「使用開始後の問題の特記・注目すべき事項」には・・・
1、「コースからの流水・土石流失等は、コース周辺の生態系に大きな影響を与えることになる。」
2、「融雪を遅らせるための塩・薬剤等の散布は、植生のみならず生息する動物にも大きな影響を与えることになる。」とあり、
1、『流水や土石流失を引き起こすと予想される改変』
2、『融雪防止剤の使用』
を言外に「しないように」と指導しているのである。スキー場はその指導を守っていないのではないか?
このような指導を遵守するという前提のもとに「拡張ゲレンデ」工事は許可されたはずである。
スキーヤーのみなさん、ゲレンデ周辺と岩木山の植生を改変しないで「あるがままの自然」を維持するために、仮にもあったなら、融雪防止剤(硫安や塩)等の散布をさせないよう「環境アセスの特記事項を守れ」と、注意しましょう。
2005. 2.2更新