故郷の山を守って

 去る(99年)11月1日、青森県知事木村守男氏は岩木山における鰺ヶ沢スキー場の拡張計画を認可しました。
 岩木山といえば、古代より山岳信仰の対象とされ、秀麗なその姿は誰からも愛され、親しまれ、数多くの映画や歌の舞台となっている。これらはいずれもリンゴ園の背景として女性的で美しい岩木山があったからこそであり、もし仮に、傷だらけの岩木山であったとしたら、ここまで大衆の中へ溶け込むことはなかったであろう。
 青森県といえば、県花にも指定されているリンゴが象徴されると思うが、その特徴を活かしてほしい。津軽を訪れる人々が、リンゴ畑の奥に望む岩木山を美しいなあと思えるその風景を後世に残していただきたい。
 もし、スキー場が拡張されても、ごく一部の人の収入が増える程度で、マクロ的な視野からみれば、青森県にとって、いや日本にとってどちらが将来的に得策であるかは言うまでもない。
 私は青森県で生まれ長野県に就職し、信州の山々も登っているが、岩木山ほど美しいと思った山は無い。これは単なる私の岩木山に対する執着が強いだけなのかもしれないが、とにかく岩木山はどこから眺めても美しいことには違いない。

長野県中野市 八幡秀彦


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