鯵ヶ沢スキー場拡張工事報告(9/27)

生態系を破壊するえん堤工事

 鯵ヶ沢スキー場拡張区域の「えん堤」が工事中であるにもかかわらず、6haほど伐採予定とされている豊かなブナ林部分の半数以上が伐られてしまった。事業者である西武グループの元締めのコクドは、県や森林管理局との約束を自ら反故(ほご)にし、行政側もこの事態を黙認してきたといえよう。
 森林が伐採されはじめた8月下旬から9月上旬にかけて、同じ沢の少し上ではニホンザリガニの生息が確認され、岩木山を考える会は、えん堤の下流部も含めて総合的に調査するように県に求めていた。また、自然を分断するこの堰堤の扱いを、設計の変更を含めて再検討するよう求めてもいた。
 この写真は9月24日早朝のえん堤の写真である。同時に前日付けで現場に掲示していた「危険予知活動表」も確認されている。この日だけで、93m^3(立方メートルの意味)の打設とある。4m^3積の生コン車で20台分以上。雨が断続的に降り続く天候が数日続いているにもかかわらず、ご覧の通り朝のえん堤にはシートすらかけられていなかった。
 事業者や行政はコンクリート打設時に滲み出るアルカリ性の濁水は、水生生物を殺すほどの毒性が強いことを把握していていない。このことは密漁にだって使われていることは、漁業関係者になら大抵知られていることだ。辺りには何の処理層も用意されていない。これまでの工事の状況や、前夜の雨の状況から察すると、えん堤下にも生息していたであろうニホンザリガニは、残念ながら既に広範囲にわたって死滅してしまった可能性が高い。これが、県の言う「自然環境に配慮した工事」だというのなら、青森県政の現状とコクドのこれまでの実績は世界の笑いものとなる。そろそろ冬になる。余裕ができれば、念願の英語版ホームページの開設にもごぎつけられるだろう。
 私たちの要望書やマスコミ対し、県は「ザリガニを見たら移す」と答えているが、それだけで済まされる問題ではない。最低限、沢の水を一時貯水して、pHを計り中和しなければいけない。明日の夕方にでもリトマス紙を持って登山したくなる。そうした配慮すらできない県の姿勢に憤りを感じる。
 9/26の調査では、このえん堤は調整池も兼ねている名目になっているが、どこにも排水弁は無いことが明らかとなった。調整とは名ばかりで、オーバーフローを垂れ流す仕組みだ。また、自然保護課には青焼きした図面すら届いていないと答えているそうだ。さらに、土木部に建築確認申請すら出されていないようである。
 このようなずさんな管理体制で、防災設備と森林伐採が同時進行で進められている。ずさんなえん堤工事は、建設途中や建設後に崩壊し、かえって災害をおこす引き金になりかねない。
 今夜も雨が続く、大鳴沢が気になる...。

裁判で判ったことも含めて、細かいことを言うときりがない。
・リフト敷のコンクリートの残骸の扱い。
・危険物(燃料)の保管表示。
・幅3メートルを守っていないえん堤管理道。
・年間使用料は計画区域一帯ではなく、コース部分を中心とした13haで、たったの100万円弱。

 そういう私は、実を言うと、3、4年前まで、年に一度は泊まりがけでスキー場を利用して鯵ヶ沢プリンスホテルにも泊まっていた。(ごめんね。実家が近いのに親不孝者で.....)ゴンドラにも乗って滑ったが、リフト降りた客で鍋森スーパーに挑む客はほとんどいなかった。また、ある時には、閉鎖していた。
 思えば、その頃から胸騒ぎがしていた。森が叫んでいるように感じた。学生の頃とか一緒に行ったトモちゃん、ブンブン、ヒロリン、ミワちゃん、そして今やカミさんとなったクミちゃん、覚えてる?。

 個人的には、県単位でスキー客を集めなければ...という姿勢に疑問も感じている。いいじゃないか。岩手の安比に行けば。いや、それよりも事業者や行政の言う「スキーヤーの県外流出に歯止め」よりも、不況によるスキー人口の減少の方が現実的な現状分析だと思う。

そいて、この雨続きで、うちの稲刈りはまだ6反ほど残って、足踏みを続けている。明日には刈りきれるだろうか???。

そして、また屋根トタンを打ち付ける雨音を聞きながら、憂鬱になる。

西津軽郡森田村 葛西拓美


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