鰺ヶ沢町の広報や県へ提出の要望書には、スキー場を拡張すれば「地元雇用の場となり、入り込み客数が増加し、地元からの食材や物資などの購買促進がなされ、地域の大きな活力源となる」というバラ色的表現が並んでいる。ところが、その割には実質的な効果は見えない。バラ色表現はリゾート法等による開発時に言われた常とう語句であり、その結果、破綻した事例は少なくない。大鰐町のスキー場経営もこれを教えてくれている。
バラ色に飾られた効果は、決して皆伐採された森林を、また町財政を埋めることにはならないだろう。同スキー場からの町の固定資産税収入は、誘致企業であることから特例で五年間据え置いた後、年一億円少し。スキー場などが町内から購入している物はガソリンなどが二千万円程度。野菜など地場の生鮮食料品等の購入はほとんどないのである。
町民の話によると、スキー場やホテルへのアクセス道路建設や汚水処理等に何十億円単位という町費が既に使われているらしい。またゴルフ場下部河川の下流域では魚体に変異が見られ、そこを水源とする米作農家は困惑しているというのである。もし、これが事実であるのならば、鰺ヶ沢町にとってスキー場は決してバラ色のものとはならないだろう。また湯舟や建石、それに徳明沢下流域の人たちは、スキー場建設後の川の濁りと急激な水流の増減変化におののきを隠さないのである。現に小規模な土石流災害が大鳴沢下流域で発生しているし、ため池が泥土で埋まりかけているともいう。弘前市 三浦章男